2013年11月10日日曜日

映画「BEATCHILD ベイビー大丈夫かっ」を観た

「BEATCHILD ベイビー大丈夫かっ」を観てきた。
感動の野外ライブだった。
当時私は高校生だったからBEATCHILDという野外ライブが開催されたということしか知らなかった。
しかし、ライブ映像を観て驚きと感動の連続だった。
当時このライブへ出演したバンドの音楽を特によく聞いていたわけではない(BOOWYを除く)。
それなのに全てが懐かしく、「リンダリンダ」なんか歌ったこともないのにコーラスの上のパートも歌えそうなくらい。
今とは違って当時の私の周りには意識して聴いていた音楽以外にもいろんな音楽が流れていたんだなあと改めて思うのと同時に、当時は今とは違うロックの空気が流れていた時代だったんだなあと強く感じた。
ファッションやサウンドの古さは否めないけれど、80年代に青春時代を過ごした者としては本当に懐かしく思う。
観てよかった。
もう一度観たいくらいだ。
その当時のことを知らない若い人でも、ロック好きは必見!

このライブは1987年8月22~23日に熊本県の阿蘇山麓にあるアスぺクタという野外劇場で開催された日本初オールナイトロックフェスティバルの記録映画だ、
18時開演、翌日6時終演という予定だったが、ライブ中のほとんどの時間が豪雨という凄まじい状況の中で開催された伝説のフェスだ。
時間帯によっては1時間あたり71mを超える雨量だったという。
日本初の試みとは言え、
運営側が雨の予測をしていなかった模様で詰めが甘かったのは否めないところだろう。
運営本部の部屋もPAも床の上を濁流が流れる状況。
豪雨のため、機材が水をかぶって使えなくなるものが続出。
ドラムセット等を守るために急遽ステージ上にテントが設置されたがそれでも間に合わないほどの大雨・・・。
白井貴子の出番では1曲目の前奏でギターとベースが水にやられて壊れ、
ステージ上のモニターも水濡れのために撤去。
シンセとドラムパートだけの演奏(それもモニターが無いから多分かすかにドラムの音だけが聞こえただけだと思う)で歌った姿と、機材不具合で中断中に一生懸命に観客を鼓舞して
自らもバケツの水をかぶって気合いを入れるところなど全ての人が引きつけられただろう。

客側も雨対策が甘かった部分があったと思われる。
開催日は夏とは言ってもお盆明けだし、標高500mの高原の深夜ライブだから例え雨が降らなくても結構冷える。
映像を見る限りその対策をしていなかったと思われる薄着の客も多かった。
それが豪雨だったからひとたまりも無い。
ミュージシャン・スタッフ・観客ともに気合いで乗り切った我慢大会ライブとも言える。
でも、その状況を何とか乗り越えようとした真剣な姿に心を打たれるのだろう。

雷も鳴っていた時間帯もあった模様だから、今だったら間違いなく中止だったと思う。
しかし、7万人以上を人里離れた山奥に夜中に集めてしまったために帰すこともできなかったのだろう。
とにかく凄まじいライブだった。
全てが感動だったが、
白井貴子の出番前の不安な表情、あのスライダースのメンツでさえ楽屋で困った顔をしていたのに
甲本ヒロトだけは本気で雨を楽しんでいるような笑顔をしていたのが特に印象的だった(ただ、ブルーハーツの出番の頃は雨は降っていなかった)。

これDVDは出ないんだよな。
テレビ放送もDVD発売も一切なし!って書いてあったからなあ。
もったいない。
でも、あの豪雨の中でこれだけのクオリティで映像・音楽を記録できたのは奇跡に近いと思う。
よく今まで残っていたものだ。
ライブには多くのミュージシャンが出演している上に尾崎は死んでるし、契約とか権利とか面倒なことがあるのだろうけれど、
DVD発売して欲しいなあと思う。


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