常滑焼というと、急須とか食器など日用品とかまねき猫というイメージだが、
この展覧会でそれは間違っていることに気付かされた。
会場の「ノリタケの森」は旧森村銀行系の一つであるノリタケカンパニーリミテドの創業の地である。
敷地はとても広くて見所も結構あり、
子どもと一緒に行っても大人だけで行っても楽しめるようになっている。
古いレンガ建物も残っているために風情がある。
その中のギャラリーで展覧会が開催された。
展示してあるものは常滑焼のイメージとは全く違う斬新なものばかりだった。
作家は18人いるのでそれぞれ特徴があるのだが、
一人としていわゆる「常滑焼」というイメージの作品は出展していなかった。
かなりカラフルなものや、前衛的なもの、メッセージ性の強いものなど多種多様だ。
実用的な皿などもあったが、不思議な色合いのものが多かった(釉薬を研究しているのだろう)。
私の知人の陶芸家である新井洋志さんが出展したものはデフォルメした猫などの置物で、
メッセージ性の強いものも含まれていた。
てっきり皿などの日用品に近いものを出展すると思っていたのでまずそれに驚いた。
それと、同じモチーフの作品が多数展示してあったが、一つ一つが微妙な違いを見せていた。
本人によると、そのときの心情や体調などが作品に現れるのだという。
私は、芸術家はただ絵や陶芸が好きで作品を制作しているのではなく
作品を通して何かのメッセージを発信しているのだと思っているが、
まさにそれだった。
美術館などでの展示の場合は作家の話を直接聞くことが出来ない場合が多く、
製作過程の詳しい事情が分かることは少ない。
が、今回は本人が在廊だったのでいろんな話を聞くことが出来てよかった。
焼き物なので、焼いてみたら最初の意図とは違ったものになってしまうこともあることや、
釉薬の配合を微妙に変えることによって発色が変わることなど、
大変興味深い。
私は焼き物についてはほとんど知識がないので初歩的なことばかり聞いてしまったが
いろんな話をすることができてとても有意義だった。
また次に開催するときも連絡していただけるとのことなので、
是非行ってみたいと思う。
で、また目からウロコの作品と巡り合えたらと思うと楽しみだ。