2011年3月11日金曜日

さらば俊樹

私のバイクの整備をずっと頼んでいたメカニックが事故死してしまった。
未だに信じられない。
奴とは地元の祭りでも同じ組に所属しているから
メカニックになる前から知っていた。
ただ、私とはかなり年齢が離れているから祭りではあまりかかわったことがない。
私が若い衆だった頃はまだ子どもだった。
今は奴が若い衆の年齢。
これからだというときに・・・。
そういえば、奴は去年が年行司だったから
今年は初めて若手取として臨む祭りだったんだ。
あと2カ月で祭りか・・・。
ただひらすら悲しい。

仕事の関係で通夜には行けなかったから
私は告別式に行った。
通夜では若い衆が集まり、祭りのお囃子を演奏したそうだ。
葬儀場へ俊樹を運ぶ時は組事務所の前を通ったと言っていた。
告別式は昼間にあったのにもかかわらず多くの参列者があった。
まだ24歳。
早すぎる死だけに悲しい葬儀だった。
会場には組事務所から持ってきた祭りの写真や看袢などが飾ってあった。
お棺には祭りの装束や手ぬぐいなどが入れられた。
祭好きだから、きっとあの世で喜んでいるだろう。

奴の職場の上司は私の陸上部の先輩だ。
後で職場を訪ねて話を聞いた。
それによると、
事故の日は俊樹は出勤だった。
この日はたまたま店主催のナイトランツーリングがある日だったので、
仕事を終えてからツーリングに合流し、
その帰途(解散したあと)に事故にあったらしい。
第一発見者はツーリング参加者で、
その日が納車だった人とのことだった。
事故の当初はまだ意識がしっかりあり、
「痛ってぇ~、俺の靴が無い」などと言っていたそうだ。
そして自分で救急車に乗り、
そのあと容態が急変して帰らぬ人となった。
先輩は深夜に病院の霊安室に駆けつけ、
涙をこらえて
「お前のせいで仕事が忙しくなったがや」
と言葉をかけたそうだ。
メカニックとしてかなり期待していただけに余計に悲しいと言っていた。
先輩は仕事に対する見方が厳しい人で、
その人に期待されていたということは相当有望株だったのだろう。
 そういえば、私のバイクは俊樹と同じ歳じゃないのか?
製造後24年目だから。
昨年エンジンのオーバーホールをしてもらった。
クランクまですべてばらしてもらい、今も絶好調だ。
俊樹が整備してくれたバイク、ずっと乗り続けるぞ。

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