2011年3月6日日曜日

不正入試事件について思うこと

非常に残念な事件が起こった。
大学入試でのカンニング事件だ。
この事件はネットで瞬く間に噂が広がり、
カンニング事件としては異例の逮捕となった。

ネット上ではいろんな意見が飛び交う。
ツイッターやFacebookなどSNSと呼ばれるサイトでだ。
多くの意見は逮捕まですることはない、というものだ。
一方で、不正は絶対許せないから逮捕はやむを得ないというものもある。

ここではっきりさせておきたいことがある。
カンニングは不正なことだ。
たかがカンニングぐらいで、という論調があるが、
不正は不正だ。
ただ、カンニングをして逮捕となるとちょっと行き過ぎだと感じる。
犯人は未成年の私人であり、
逮捕によって彼の将来はかなり閉ざされる可能性がある。
しかし、今回は逮捕せざるを得ない状況に追い込まれたという実情があることをわかるべきだ。

この事件は関係者が誰にも漏らさずに内々で納めていれば逮捕には至らなかったはずだ。
本人は不合格とし(他学部を受けていても全部失格)、厳重注意で済ますことができた。
しかし、
ネット上で入試問題が掲載されているのを見つけた京大の新聞会(正式名称不明。学内で学生が発行している新聞の団体)の誰かがこのことに気付いてネット上でこのことをばらまいたために
多くの人が知ることとなり、
結果として京大当局は被害届を出さねばならない状態となり、
逮捕しなければならなくなったのだ。
決して他の受験生に対する見せしめとしての逮捕ではない。

ネットの世界、SNSの世界は便利ではあるが怖い一面がある。
ちょっとした情報があっという間に膨大な人宛に転送できるからだ。
ネズミ算以上の広がり方だ。
クリックひとつで多くの人に転送出来てしまう。

今回の事件は
京大の新聞を発行している団体がネット上で情報を流したことにより多くの人(部外者がほとんど)に知られるようになってしまい、
京大本部には「犯人を捕まえろ」という脅迫まがいの苦情が寄せられ、
大学当局としては被害届を出さないわけにはいかなくなった。
なぜなら、苦情を言う人は犯人を捕まえるまで苦情を言い続けるからだ。
また、マスコミも京大のカンニング事件として大きく取り上げて、
こともあろうに出身高校や予備校、その生徒の実家の近所まで取材に行く始末。
そして、大きな事件となってしまったために京大は被害届を出さざるを得なかった。
出身高校や予備校はお詫びをするような立場にはないのに、
テレビの取材に対して謝罪をした。
これも高校や予備校の管理責任を問う苦情を寄せる野次馬がいるからだ。
予備校はともかく、出身高校にそんな責任があるのか?
マスコミもマスコミだ。中東では反政府デモが各国で起こり、
多数の死傷者が出ているのに、
それよりこの事件をトップ記事に持ってきた。
新聞はワイドショーではない。

政治家なら公人であり、権力者の一員なのでいくらでも批判される立場にあるが、
この事件の犯人は私人で未成年だ。
事件の内容もカンニング。
大きな事件にするようなものではない。
逮捕しろという苦情を言ったものの気持ちも理解できないではない。
日本屈指の難関大学に楽して入学されたとあってはたまらないからだ。
しかし、京大とは全く関係ない人が逮捕しろと苦情を言うのはどうだろうか。
こんなところで妙な正義感を出して、
誰かに処罰をさせていい気になりたいのだろうか。

こういうときに我々が一番にすべきことは見守ることだと思う。
変に騒ぎ立てることによって、
その人やその家族の人生は大きく変わってしまう。
京大当局や警察を批判する前に、
この事件のことを騒ぎ立てた人やマスコミを批判すべきだろう。
京大もある意味被害者なのだ。

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