愛知県図書館探検ツアーに行ってきた。
これは一般市民向け(中学生以上)に開催されたもので、
数年前から年に何日か開催されているものだ。
今までずっと行きたいと思っていたのだが、
当日先着順に受け付けするというのが面倒であきらめていた。
しかし、今回はメールでも受け付けるとあったので応募し、
めでたく当選したのだ(先着順に受け付けだった)。
集合時間は13時半。
県図書のAVホールで全体説明があり、
その後職員に引率されて普段は入ることのできない館内のバックヤードを順番に見学していく。
今回の参加者は8名。
平均年齢は多分私の年齢と同じくらいかやや上か。
見学は障害者閲覧室から。
普段は障害者以外は利用できないという部屋だ。
ここで、点字資料やデイジー資料の説明を受ける。
障害者向けの資料は一般向けに販売されているものだけではとても追いつかないので
この図書館でも作成しているとか。
その後、1階のカウンターから順に。
書庫の資料を請求すると、その申請書がどのように流れていくかのしくみを見せてもらい、
地下の書庫へ下りる。
書庫は地下1階と2階だが、そこは4層に分かれていた。
書庫の書架は主に電動の集密書庫が置かれていて、
その動かし方も見せてもらう。
最新式のものは書架の動作が液晶表示をされる。
説明を聞いてびっくりしたことがある。
それは、県図書は基本的に除籍(廃棄)をしない図書館だということだ。
一旦買った本・雑誌は全部取っておく。
壊れて修理できなくなったもの以外は全部保管されているそうだ。
そんなことしていたら置く場所が無くなってしまうと思ったが、
今のところ収容スペースには37万冊も余裕がある計算だ。
地下の書庫をよく見ると、フロアに空きスペースが多数あり、
まだまだ大丈夫みたいだ。
将来はそこにも集密書架を入れるのだろう。
他の公共図書館ではこうはいかないので、
定期的に除籍し、
いらない本を利用者に頒布するイベントを行っていると思う。
で、その後貴重書庫へ。
県図書の貴重書は和本が多く、あと古い地図も結構ある。
貴重書は大変大事なものなので、
耐火金庫みたいな分厚い扉が付いた部屋に厳重に保管されていた。
とびらの奥には金網のついた引き戸があり、
それを開けて中へ入る。
劣化防止とカビの発生を防ぐため、
室内は24時間空調で管理されている(気温18度・湿度50%)。
床・壁・天井・書架は全部木でできていた(多分杉の木だと思う)。
貴重書にはいろんなものがあるが、
中でも江戸時代の大きな地図は体育館で広げないと見えないようなサイズのものもあるそうで、
そういったものは滅多に開かれることはない(請求しても利用許可が下りないだろう)。
大きくないサイズのものでも劣化の激しいものも閲覧許可は下りないとか(県図書で一番古い図書もかなりボロボロだから閲覧不可:本を開くとそこから分解しそう)。
ただ、閲覧できないものは電子化されており、
インターネット経由で電子アーカイブからパソコンで閲覧可能だ。
他の図書館の資料を取り寄せして利用者に提供するサービス(ILL)は
今ではあらゆる図書館が実施しているが、
県内の図書館間の転送便を一手に引き受けているのが県図書とは知らなかった。
それは、県内各図書館との間に定期便があるかららしい。
例えば、
半田市立図書館の利用者が豊橋市中央図書館の資料を取り寄せする場合、
その本は豊橋から県図書へ行き、
そこから半田へ来るという流れだ。
また、岐阜・三重・富山・石川の各県立図書館とも転送便のやり取りがあるそうだ。
で、例えば名張の図書館から半田の図書館の資料の希望があったときは、
半田から県図書へ行き、そこから三重県立図書館へ行ってから名張へ転送されるという経路になるらしい。
本の大変な流れを知って驚いた。
新刊図書を購入するセクションも見学した。
県図書は県内の公共図書館の機能を補完する位置づけの図書館であるため、
どこの市町村立図書館に普通に購入されるような本はどちらかというと購入せず、
少し学術的な図書や市町村立図書館が購入しなさそうな本を購入していく傾向もあるらしい。
限られた予算を有効に使って行くために現在の所蔵資料との兼ね合いも考えて研究しているとのこと。
最後に図書の修理スペースへ。
本の修理は基本的には保存の利く材料を使う。
糊は生麩か製本用の糊。
セロテープは絶対使わない。
上を接続するときは和紙を使う。
本を破った人が勝手にセロテープで補修していることがときどきあるが、
セロテープは年月が経つと接着部分が変色して紙にこびり付いてセロファンと分離するので
そうなる前に全部はがして修理し直す。
コピー機を使う人が増えてから修理本の量が大幅に増えたとか(ページをグッと開くので
本がバラバラになる)。
取れたページがある本は本自体をばらして各ページを縫い込みして直すそうだ。
修理本の棚に目をやると、
何と私が卒論を書くときに参考資料とした本が並んでいた!
それは結局は自分で購入したけど最初はここで借りた。
だから約20年ぶりの対面。
早く修理されるといいなあと思った。
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