2013年1月19日土曜日

国宝高松塚古墳壁画 修理作業室の公開(見学会)




高松塚古墳の作業場見学に行ってきた。
普段は文化庁のホームページなんか見ないからこのようなことをやってても気付かないんだが、
たまたまネットのasahi.comに記事が流れたのに気付き、
応募したら当選したのだった。
奥さんも誘ってみたが休みが合わないために断念。
やむを得ず一人で行ってきた。
今年は例年になく寒くて、名古屋では前日に雪が降った。
飛鳥の地は当然名古屋より寒い。
私が行った日もまだ雪が少し残っていたくらいだ。
それを見越して完全防寒対策で出かけた。
高松塚の見学は15時5分~(24班)だが、
せっかく飛鳥まで行くから、時間までレンタサイクルを借りて遺跡巡りをすることにした。
この寒い時期にレンタサイクル?と普通の人は思うだろうが、
私は毎日駅まで自転車に乗っているから余裕なのだ(自転車で毎日8.6km走る)。
そのために、バイクでも対応可くらいの防寒対策にした。
高松塚に15時までには到着できるように計画を立てる。
始発で出発し、
近鉄橿原神宮前で降りて駅前の飛鳥レンタサイクルで自転車を借りる。
そして、久米寺~孝元天皇陵~小墾田宮跡伝承地~雷丘~豊浦宮跡~甘樫の岡~飛鳥考古史料室~水落遺跡~飛鳥坐神社~飛鳥板蓋宮跡~蘇我入鹿首塚~酒船石遺跡・酒船石~川原寺跡~亀石~天武・持統陵~鬼の俎・鬼の雪厠~高松塚と巡る。
高松塚地区の国営歴史公園には14時半くらいに到着したので、
先に高松塚古墳の様子を見てくる。
公園内は自転車の通行が禁止になっているところがあると聞いていたが意外と奥まで入っていける。
古墳の近くに駐輪場もあったし。
で、高松塚古墳に行ってみてびっくり。
昔の様子とはすっかり変わっていた。
見るも無残な姿に・・・。
実は高松塚古墳には高校生のときに行ったことがあった(このときも自転車を借りた)。
そのときはまだ古墳内に石室があったから墳丘は樹木に覆われていたのだけれど、
今はタダの砂山と同じ。
カビ発生事件に伴い石室全部を取りだしたから、
そのとき墳丘を崩したのだろう。
もっとも、今の状態が古墳築造のときの姿だと言えばそうなのだが、
文化庁の無責任管理体制のためにカビが多数発生したせいで、
築造当時のままの状態を維持することができなかったのは大変遺憾なことだ。
いくら後で元の様子に戻したとしてもそれはあくまで見た目だけ。
実際に古の人たちが築造したものは破壊されてもう存在しないのだから。
さて、気を取り直して集合場所へ行く。
来ている人はリュックを背負ったおじいさんばかりだと勝手に想像していたが、
私と一緒に班で見学する人は平均年齢が40代くらいか?
意外と若かった。
見学の時間は全部で30分くらい。
最初に文化庁の係官(研究職か?)から高松塚古墳についてや修復作業についての詳しい解説があって、
その後修復作業現場の見学となる。
作業場は完全な無菌室のような状態を維持するために関係者以外は入れない。
我々は見学用通路から窓越しに修復中の壁画を見るという形だ。
そこで見学しながら担当者の解説を聞く。
質問にも答えてくれる。
壁画の色が随分と退色しているように感じたが、
実は湿度が下がっているかららしい。
壁画の写真を取った時は湿度が極めて高い状態のときだったので発色がキレイになっているが、
今は湿度を50%くらいにしているためにやや発色が悪くなっているとか。
本来は石室を取り出すことなく壁画部分だけをくりぬいて修復作業をしたかったそうだが、
壁画が描かれている下地の漆喰の層が極めて薄くて剥がせない(剥がすとボロボロと崩れる)状態だったために、
やむを得ず石室ごと取り出したとのこと。
石室は○○個の大きな石に分割されて置いてあったが、
これは今回の作業のために切ったのではなく、
築造当時の人たちが切ったままとのこと。
接合面など結構でこぼこがなくてカッターで切ったようにシャープなのに驚いた。
窓越しの見学はおよそ10分少々。
時間が来たので退出し、アンケートに答えて解散となった。
その後、文武天皇陵、桧隈寺跡、キトラ古墳、文武天皇陵と欽明天皇陵、猿石(吉備姫王墓檜隈陵)を見学したあとに
橿原神宮前駅へ向かって自転車を返却(17時までに返却しないと追加料金にあるから)、
帰途についた。
今後の展望について気になったこと。
今回カビ取り・修復をしたとして、
今後誰が責任を持って維持管理していくのかが明確でない。
責任の所在をはっきりさせて(担当者をきちんと決めて)管理して行ってもらわないと
また同じことの繰り返しだ。
役所の人たちは行政法によって身分をかなり保護されているから
大きなミスをしても民間レベルでの責任を問われないのが問題かも。
今後何かが起こってもうやむやにして人類共通の遺産を破壊してしまう可能性がある。
もっと責任感を持って人任せにせずに取り組んで欲しい。

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