2008年5月18日日曜日

岐阜市歴史博物館

すっかり祭のことばかり書いてしまっていることに気づいた。祭関係の記事が多くなりそうなのを見越して「日記など」の『祭だ!』に書くことにしていたのをすっかり忘れていた。今後、祭関係はそちらに書くことにしよう。
招待券をいただいたので、金華山のふもとにある岐阜市歴史博物館へ展覧会を観にいった。今回の企画展は「特別展 皇室侍医ベルツ博士の眼 江戸と明治の華」である。これは、ドイツ人医師のベルツが日本に来て収集した美術品などを展示した企画展で、出品されたものはドイツのシュツットガルト市にあるリンデン民族学博物館所蔵の品である。この博物館には現在、1万6千点にもおよぶ多彩な日本の美術工芸品が収蔵されており、海外所在の日本美術コレクションのなかで最重要かつ最大規模といわれるものとのこと。今回はこの博物館コレクションの中核をなすベルツ・コレクションを中心に、リンデン民族学博物館所蔵品から選りすぐった日本美術工芸品、それにベルツ遺愛の品を加えて展示し、ドイツ人医師の眼が見出した、日本の美の精華、洗練された江戸と明治の粋を紹介するという意図である。

展示された品々の保存状態のよさにまず驚く。掛け軸など日本画は紫外線による退色やカビ・シミなどの影響を受けやすいが、非常にきれいな状態のものばかりで、日本画の特性をよく知った上で保管されているのだと推測される。それと、展示されている品のレベルが非常に高い。掛け軸以外にも漆器や陶磁器(七宝を含む)・蒔絵などすべての工芸品が一流の職人・絵師の手によると思われる。当時の外国人にとっては東洋のちっぽけな島国に過ぎない日本について予備知識は全くなかったはずで、ベルツは相当目利きであったに違いない。

岐阜市歴史博物館は、土日には常設展示室にボランティアガイドが常駐する。彼らは展示品の解説や体験コーナーのお手伝いなどをする。この博物館のよいところは体験型博物館となっているところで、体験コーナーがとても充実している。例えば、縄文土器の模様付けの体験ができたり、弥生時代の人たちが着ていたとされている貫頭衣を着てみることができたり、銅鐸の複製したものを叩いてみてどんな音がするかを聞くことができたり、古墳から出土した鉄製の鎧を復元してどれくらい重いのかを持つことができたり、江戸時代の子どもたちが遊んでいたと思われるおもちゃを使ってみることができたり。
その他いろいろあって子どもでも楽しめる。ボランティアはそのお手伝いをしていく過程で、地域の歴史についての解説もしてくれる。

常設展は何度も観ているので、いつもと変わった展示品だけチェックしていたら、ガイドにつかまってしまった。う、あまり時間が無い。が、私が発掘に興味があると知っていたのかどうかは定かではないが、来週から遺跡の発掘調査があることを教えてくれた。つかまってラッキーであった。
発掘場所は博物館のある岐阜公園のロープウェイ乗り場周辺で、織田信長の時代にあったとされる建物の遺構などを調査するという。岐阜公園のあたりは尾張と美濃を平定した頃の織田信長が屋敷や蔵などを構えていたことがわかっており、その調査をするとのこと。これらの建物は戦乱の中で全て焼け落ちているので、どのようなものが出土するかはわからないが、当時の瓦や陶磁器などが出て欲しいと言われていた。遺物があれば、遺構がどの時代のものであるかがある程度絞れる。今回は調査区域が広いので、30名余りの体制で来年3月まで行うという。ぜひ見学に来てほしいと言われたので、ある程度調査が進んだころに行ってみようと思う。