2013年8月18日日曜日

図書館での楽譜コピーについて


図書館にある楽譜をコピーする行為は法律違反になるのか?
法律の条文を読んだ上での私の考えは、全体の半分以下なら可能、だ。

図書館にある本や雑誌などの著作物のコピーに関しては著作権法で決められている。
基本的に、著作権法によるコピー(複写)は1著作物の一部分のみとされている。
「一部分」とは基本的に「1著作物の半分を超えない範囲」とされているので、その範囲でなら複写可と言える。
ただ、それ以外にもコピーする上での様々な法律上の制約がある。
例えば、1人1部のみ可とか、調査研究の目的のみ可(だから娯楽目的は本来は不可)とか。

では楽譜のコピーは・・・?
音楽の著作物など芸術性の高い著作物のコピーは著作権法31 条1 項1 号により半分以下しかコピーできないと規程されている。
ただ、著作権法第20 条には同一性保持権という規程もあり、
楽譜の半分しかコピーしないと作品全体を半分にする(同一性保持権を侵害する)という解釈も考えられる。
しかし、著作権法第31 条1 項1 号で複製できる範囲を敢えて「著作物の一部分」と規程しているのは、
著作権者の権利を不当に害しないため。
簡単に言うとむやみやたらにコピーしまくられないようにするためということだ。
そして、著作権法31 条1 項1号に基づくコピーは、利用者の個人的な調査研究を目的に利用者が個人的に使用するものであり、
コピーしたものはその状態(半分以下の状態)で広く流通するものではない。
仮に、半分以下をコピーしたために著作物が著作者の希望に反する状態(同一性を保持していない状態)になっていたとしても、
それは著作権者の権利を害さないための規程によるものであり、
また、利用者が個人的に使用するものまで同一性保持権が及ぶとするなら、
著作権法第1 条に定める「文化の発展に寄与」する活動が著しく制限されることになるとも言える。
つまり、楽譜のコピーは著作権法20 条2 項4 号の「やむを得ない」場合と認められるので
半分以下ならコピー可能と私は考える。
ちなみに、小品がいくつか収められた楽譜(小品集など)は各曲について半分を超えない範囲でコピー可だ(1つの曲で1著作物なので)。

著作権法はしばしば改正されているので、
常にその情報を収集して自分の頭の中をアップデートしておくことが望まれる。