2012年4月8日日曜日

イオンの紙袋の楽譜(J.Sバッハ:ゴールドベルグ変奏曲)

イオン(ジャスコ)の紙袋にはJ.S.バッハのゴールドベルグ変奏曲の楽譜が印刷されていると聞いたことがあった。
かつてこのブログでもそのことには少し触れたが
それ以上調べたことはなかった。
私はイオンに行く習慣が無いので中々真偽のほどを確認できなかったからだ。
が、このたびたまたま紙袋を入手したので調べてみた(今でもこのデザインの紙袋を使っているのか不明)。
見ると、確かに片面に楽譜が印刷してある。
しかし、ゴールドベルグ協奏曲の楽譜にしては音符の数が少ないような・・・。
念のために楽譜をチェックしてみよう。
チェックのために使ったのは音楽の友社の「ウィーン原典版ゴルドベルグ変奏曲」の楽譜(これしか家には無い)。
一応アリアから順にチェックしていく。
すると、印刷されているのは第18番変奏の楽譜だということがわかった。
ただ、やっぱり音符の数が随分少なくなっている。
3声が2声になっているという感じか。
デザイン上すっきりさせるために一部の音符を省いたのだろう(音符の種類も変わっているところがある)。
イオンがどうしてゴールドベルク変奏曲を、
それも第18番変奏の途中の一部分を袋のデザインに選択したのか?
疑問だ。
ネットで調べてみたら同じ疑問を抱いた人が多数いることが判明。
直接イオンに問い合わせした人もいた。
その記述によると、イオンからの回答は・・・
「この曲の音符の並びがデザイン的にとても美しいから」
とのこと。
しかし、本当の楽譜から多数の音符を省いておきながら
何が「この曲の音符の並びがデザイン的にとても美しいから」なんだろうか。
これだけ音符を省いていては、理由の説明になっていないと感じる。
本当の理由は「デザイナーがこの曲が好きだったから」なんだろう。
あるいはイオンの広報担当者がこの曲が好きだったのかもしれない。
そうでなければ、
わざわざ一般の人にはなじみの薄いゴールドベルグ変奏曲を選ばないだろう。
それもアリアや第1番変奏ならまだしも、
18番変奏のある一部分だけを抜き出しているから(全部で30変奏あるうちの18番変奏の一部)。
まあ、後の時代になればなるほど曲中の音符の数は増える傾向にあるから、
バロックの辺りの作曲家を物色したのかもしれない。

それにしても、この楽譜がどんな曲なのか興味を示してブログに書いている人の多くは、
この曲についてあまりいいことを書いていない。
私はバッハが好きで、カノンという形式が好きだが、
多くの人はこのような曲調が好きじゃないのか?
ショパンみたいなエモーショナルにバンバン弾く曲が好きな人が多いのかもしれない(私はショパンは好きではない)。
もしかすると、一般の人のバッハに対するイメージが良くないのかも知れない。
これは、義務教育の音楽教育課程が悪影響を及ぼしているからだと考えている。
理由は、バッハの曲で音楽鑑賞するのは小フーガ ト短調 BWV 578だからだ。

小フーガはパイプオルガンの曲で暗い感じだ(少し怖い感じもする)。
こんな曲を聴かされて、教科書に載っているバッハの顔はいかめしい顔で
いいイメージになるわけがない(と私は思っている)。
これはきっと文部科学省の陰謀だろう(と私は思っている。ちなみに、義務教育課程では
ベートーベンを引き立てるためにモーツァルトが不当に評価されているとも感じている)。
今の教育課程は違うかな?
いずれにしても、
バッハが、ひいてはバロックの音楽がもっと人気が出ればなあ。