2010年7月11日日曜日

乳酸は疲労物質ではない?

私が現役時代(もう随分前のことだが)は乳酸は疲労物質と言われていた。
練習中に疲れてきたら「乳酸溜まってきた~」などと言っていた。
が、近年になり標題についてまことしやかに語られていることをふと思い出し、
ちょっと調べてみることにした。
そうしたら該当文献があった。

月刊トレーニングジャーナル 2005年4月号(通巻306号)のP12~だ。
『乳酸は「悪者」ではない』とのタイトルがついた文献が掲載されている。

その文献によると、こうだ。
乳酸は運動しなくても体内で生産される(酸素がなくても生産される)。
摂取した糖質は体内で消化されグルコースになり、そしてピルビン酸になる。
その後乳酸となるかミトコンドリア内で酸化されるかのどちらかになる。
糖分解は運動量・運動強度によってコントロールされているわけではないので
ミトコンドリア内で使用されない余剰分が乳酸となるとのこと。
果糖を摂取しても乳酸濃度がアップすることもあるとか。
そもそも、日本で言う乳酸は酸性の乳酸(Lactic Acid)と
中和された乳酸塩(Lacitate)の両方をさすことが一般的なので、
乳酸=酸性ではない(乳酸は生産されたらすぐ乳酸塩となるため)。

また、トレーニングしていくと乳酸濃度は徐々に下がる。
これは、乳酸を中和する能力があがっていくから。
ということは、乳酸を中和する能力が落ちないうちは疲労しないと思うのだが、
実際は乳酸濃度が高くなる前に疲労困憊になることが多いらしい。
そして、登山など高所へ行くと糖分解に抑制がかかるために乳酸の生産が減少するらしい。
でも、登山ではかなり体力的にかなり厳しい。

ということで、
血中の乳酸濃度と体のきつさとは必ずしもリンクしない、
と結論付けている(乳酸がたくさん出ている状態で疲労していることも多いから、
一概には言えないが)。
詳細は実際に文献を読むと面白いと思う。
おススメ!