2010年2月6日土曜日

初めての花車茶会




私が個人的に尊敬している〇さんが主催する花車茶会へ行ってきた。
この「花車」とは旧地名で、
名古屋市中村区にある名古屋国際センターの南辺りの地域のことだ。
この茶会は、その花車と呼ばれていた地区にある光明院というお寺にある茶室で開催されるもので、
今回が初めての開催。

私はお茶を習ったことは無い。
しかし、茶の湯の雰囲気が好きだ。
それは以前、Kさんの誘いを受けて黒笹茶会へ行ってみて、
茶の湯の世界に魅了されてしまって以来だ。
狭い茶室の中に流れるゆったりとした贅沢な時間。
独特の緊張感の漂う静謐な空間に響くお湯が沸く釜の音。
茶室にいる間は他の雑念を忘れ、
心地よい気分に浸ることができた。

ということで、お茶を習おうとは思わないが、
茶会へは客として行きたいと思うようになった。
ただ、作法をキチンと稽古したわけではないので
うかつにいろんな茶会へ行くわけにもいかない。
大恥をかいて、周りの客のひんしゅくを買うだけだ。
ということで、知人の〇さんが主催する茶会が丁度良いというわけだ。
前回同様、NHKの裏千家の茶会作法のビデオを観て本番に備えた。

今回は職場の同僚2名(2人ともお茶を習っている:表千家)と行くはずだったが、
折からの降雪のためキャンセルとの連絡。
やむを得ず1人で会場へ向かう。

空いているという時間帯を選んで行ってみたところ、
降雪の影響で更に客の出足が鈍いとのことだった。

受付を済ませて待合でしばらく待つ。
ここには、掛け軸や茶道具などが展示してある。
今回は尾張徳川家と名古屋の町方の茶の湯関係をテーマにした展示だった。
私は茶の湯のことを詳しく知らないので、
こういった展示もかなり勉強になる。

他の客の話すことなどを聞いていたところ、
自分の順番が回ってきた。
とりあえず私の回の10名が寄付へと通される。
そこには席主(宗偏流の方)がいらっしゃり、
本日の趣向などを話される。
今回の茶会は旧暦を大事にしていくという趣旨も含まれるとか。
さすが〇さんがひらく茶会だけはある。
床には傀儡師の描かれた掛け軸が掛かり、
下には会記などが置いてある。
それらを拝見していたところ、とんでもないことを言われてしまった。
それは、私に正客を、ということだ。

正客とは、茶会の主賓のこと。
茶室で一番いい場所に座り、連客を代表して亭主に挨拶をし、
今日の趣向やらお床に飾られたものなどの話を亭主としなければならない。
当然、それなりの経験と知識が不可欠だ。
私は初心者だからと遠慮したが、
茶会では男が正客になると決まっているから、
と押し切られてしまった。
正客を遠慮しあうというのはみっともないと聞いていたので、
覚悟を決めてお受けし、
晴れて正客デビューすることになった。

茶室へは正客から入る。
席主が先回りして私が初心者だということを亭主に告げる。
他の方々も私を助けてくれそうだ。
今回はにじり口がなくて普通の襖の茶室。
しかも、半東が襖を開けていてそのままどうぞと言われる。
入ってお床拝見していると、
「今回は後から拝見する」と言われ、慌てて席に着く。
正客の席の前には煙草盆や火鉢が置いてあって結構狭い。
これではお菓子が置けないので、横へ移動させる。
一番いい席なのでかなり緊張。
床を背中にして、目の前が炉だ。

しばらくして亭主が入ってきて正客に挨拶をするので、
予め教えられたとおり私が代表して挨拶をする。
緊張していて、扇子を前に置くのを忘れる。

その後、お菓子がまず私のところへ運ばれる。
ここで難問が。
お菓子が1人ずつお皿に乗って出てきたのだ。
しかも、黒文字付き。
どうしていいか分からないので、
「これは懐紙を使わなくてもいいということですか?」と
隣の方に聞くと
「懐紙を使います」とのお言葉。
で、早速懐紙に取ろうとすると
「まだ早い」とのお言葉。
お菓子を取るのは亭主がお茶をたてる準備を始めてからとのこと。
一気に汗が噴出す。
で、隣の方に合わせてお菓子を取り、
同じタイミングで食べ始める。
本当は正客が先なんだけどねぇ。

お茶が私のところへ運ばれる。
正客だから、私が一番最初。
隣の人へ「お先に」と声を掛け、
亭主に「お点前頂戴いたします」と挨拶してお茶を飲む。
お茶は・・・ふわふわとした柔らかな感じで美味しい。
余り苦味を感じないお茶だ。
亭主によると、福岡県の八女茶で「森の白」という名だとか。
家元のお好みらしい。

で、飲み干した後にお茶碗拝見。
正客だから、多分私のところにあるお茶碗が一番いいものだと思うが、
それがどんなものかが良く分からない。
亭主がいろいろ説明してくれたが覚えていない。
が、隣の人たちはよく分かっていて、亭主より先にいろいろ話したり・・・。

その後、干菓子が出され、
もう一服お茶が振舞われた。
今回は、正客の私だけが1人で一服、
連客は2人で一服だった。
こういうときは正客はトクだなあ。

茶室内の飾り物や本日の趣向などについての説明が亭主からあった。
掛け軸は、近衛忠煕卿のもの。
これは私でも分かった。
その他は・・・良く分からなかった。
が、炉縁が名古屋城の古材だというのが印象的だった。
こんなもの、一体どうやって手に入れたのか?
そもそも、この茶室の床の間の右壁には徳川家の許し紋が入っている。
寄付の襖の枠はどう見ても紫檀だったし、床は鉄刀木など唐木ばかり・・・。
このお寺って??
それも気になった。
そうこうしているうちに、終わりの時間となった。
隣の方などに挨拶をして部屋を出る。
こうして、私のドタバタ正客デビューが終わった。
疲れた・・・。
でも、楽しかった。

受付へ行ってKさんに挨拶をすると、
次回の予定などを教えてくれた。
今後は偶数月の第1土曜日に行っていくとのこと。
次回は同僚も必ず誘ってこよう。
それと、次回も他に男がいないと正客をやらされてしまうから、
それなりの準備をしておかねば!