2008年9月15日月曜日

名古屋演奏家育成塾 第8回コンサート


名古屋の若手音楽家を育成する活動を行っている「名古屋演奏家育成塾」のコンサートに行ってきた。コンサートといっても、若手演奏家がプロになって舞台に立ったときに困らないための公開レッスンといったものだ。今日は6名出演で、前半・後半3人ずつ演奏し、それぞれの演奏や舞台上の立ち居振る舞いを音楽家の先生方や舞台演出家の先生などから具体的に指導される。その後、観客の投票と先生方の投票で今日の演奏でよかった人が表彰される。会場は名古屋の千種文化小劇場という小さなホールで、演劇用の舞台設計になっているため天井に反響板は無い。また、ステージを取り囲むように客席があり、舞台から見ると周りを観客に取り囲まれていると感じるはずだ。

事前に若手演奏家と聞いていたのでてっきり大学生ばかりかと思っていたが、意外にも大学卒業生が何人もいた。出演者の内訳は、ピアノ4名、フルート1名、声楽1名だった。男性はピアノの1名だけで、あとは全員女性だった。

前半は全員ピアノ。私の好きなバロック~古典派を弾く人は1名だけだった。連続して3人演奏し、その後3人は舞台上に立たされて先生方の講評を聞く。演奏の出来がまあまあだったからか音楽家の方々からは比較的よい意見が出された。彼らは1ヶ月前に直前レッスンを受けており、それから比較すると格段に良くなっているらしい。直前の調整力や本番に強い性格というのもプロには必要だ。

一方、後半の3人は少々辛口の意見が多かった。特に、観客に対して挨拶をしていない、という点がかなり厳しく指摘され、演奏家は観客に対して演奏を聴きに来ていただいたことを態度で示さねばならない、と強く言われていた。また、フルート奏者は譜面台を出して楽譜を見ながら吹いていたのを舞台演出家から指摘された。音楽の世界の中でも、金管・木管は暗譜せずに譜面を見ながら演奏するのが自然なことらしく、音楽家の先生方は全く指摘しなかった。私もプロたるものは絶対暗譜しなければならない派なので、これは当然の指摘と思った。有名な指揮者である小林研一郎氏はオーケストラの指揮をするときでも譜面台を用意していない。楽譜は全て頭に入っており、すさまじい気迫で演奏家たちと対峙する。プロになるにはこうでなければならない、と思う。

このような公開レッスン形式のコンサートは私のような素人でも結構楽しめる。スタッフもラフな格好をしているので、観客も服装に気を遣うこともない。演奏家を目ざしている人、あるいは音高・音大を目ざしている人なら尚更興味深いと思う。次回は3月とのことなので、是非足を運んでみてもらいたい(チケットは「ぴあ」で発売)。