2008年6月15日日曜日

ゴールドベルグ変奏曲



私は音楽全般が好きだが、クラッシックではバロックや古典派が好きだ。以前はロマン派なども好きだったが、年齢を重ねるにつれていつの間にか好きな曲の傾向が変わっていた。


バロックでは、J.S.バッハが好きだ。小学校のときはバッハは嫌いだった。というのも、教科書に載っているバッハのしかめっ面が怖そうだったし、音楽鑑賞で聞く小フーガもパイプオルガンの暗い曲だし、悪いイメージを持っていた。


今から10年ほど前、非常に心地良い曲が聞こえてきたことがあった。それがなんとバッハのゴールドベルグ変奏曲というピアノ曲だった。これは、ギタリストの大萩康司もNHKの番組「トップランナー」に出演したときに好きだと言っていた曲だ。聞くところによると、バッハの教え子であったゴールトベルクが、不眠症に悩むカイザーリンク伯爵のためにこの曲を演奏したという逸話から「ゴールトベルク変奏曲」の俗称で知られている。ただ、この曲が作曲された当時ゴールドベルグは14歳であり、この曲が極めて高度な技術がなければ演奏できないレベルの曲であることから、この逸話は信憑性に欠けると言われている。


正式名称は「アリアと様々の変奏曲からなる2段の手鍵盤のチェンバロのための練習曲」で、ピアノが主流となった時代には忘れ去られた曲となっていた。それを、カナダのピアニスト グレン・グールドがデビューアルバムにこの曲を選択して1955年に発売し、世界的なセンセーションとなったため一躍有名な曲となった。グールドは1981年にも再録音し、その後急逝したために更に注目されることとなった。私は1981年録音(歴史的名盤と言われている)のCDを持っているが、非常に素晴らしい、の一言に尽きる。曲の構成は、最初と最後にアリアがあり、その間を第1変奏~第30変奏が次々と演奏される形となっている。全部聴くと1時間ほどの長さだが、弾き手によって多少増減する。変奏は、1つのテーマを変奏していくのではなく、3つのテーマを順番に変奏していく形になっており、アリアの左手のメロディーが全曲に通じたテーマとなっている。私は特に第30変奏が好きなのだが、この曲だけを聴くのではなく、最初から通しで聴いた上で第30変奏になり、再びアリアを聴いて終わるという過程が物語のようでとても心地良い。


この曲の楽譜(ウィーン原典版)とCDの演奏を比較すると、グールドが勝手にリピートを省略したりトリルを入れたりしているところを発見できるが、それもまた良い。是非お勧めしたい曲の1つである。
なお、イオン(ジャスコ)の紙袋に印刷されている楽譜はこの曲の第18変奏だという噂があるが、まだ確認できていない。とても気になっている。 また、1955年録音のものも聴いてみたいなあ~。